音大生(特に楽器専攻)へオススメの中から今回はこちらの本を紹介させていただきます!
「音大卒」は武器になる
著者 大内孝夫
協力 武蔵野音楽大学
発行所 株式会社ヤマハミュージックメディア
2015年2月10日 初版発行
元銀行員の著者:大内さんが、武蔵野音大の就職課で学生の就職指導をする中で多くの音大生の持つ力や悩みを知り、卒業後に後悔しないために、あえて音大の外の視点を持つ自分がお伝えできるヒントがあればという考えから執筆に至ったそうです。
※ちなみに、大内さんは2020年より名古屋芸術大学芸術学部音楽領域教授になられています。HPもお持ちです。
2部構成で最後に税金の話もあります!
`はじめに´にある『著者が伝えたい3つのこと』に基づいて主に第1部の各Chapterの抜粋を音大卒の私、白湯*の経験と意見を交えて書きたいと思います。
1.音大で学ぶことは、社会で生きていく上でも十分な実力がつく
ーまず結論から言いましょう。社会で生きる上で、音大卒は武器になります。ー
『ピアニストの脳を科学する 超絶技巧のメカニズム』という本で、小さい頃からピアノを弾いている人の脳は普通の人よりも活性化されていると科学的に証明されたそうです。同様に、小さい頃からヴァイオリンを弾くことも脳によい影響があると言われており、小さい頃から音楽を始めている人の脳は普通の人より発達している可能性が高いとのこと。
音楽以外にも、たとえば、コミュニケーション能力。レッスンを通じて、自分より30も40も歳上の人にも物おじせず話すことができるようになります。 多くの会社には課長というポストがあり、その課長にアンケートを取ってみるとストレスを感じる最も大きな悩みが「部下とのコミュニケーション」だそうです。
そして、礼儀や時間厳守。
レッスンを円滑におこなう、試験に遅れないなどの他に本番の演奏会に向けたプロセス管理にも時間厳守が必要と知り、音大ではこの指導が徹底されていることに合点がいったそうです。
確かに、本番の演奏会に向けたプロセス管理というのもありますが、何より自分の代わりはいないという責任と自信を持つ、そうして周りとの信頼を築いていくというのもあると思います。
個人的には乗り遅れはこの世の終わりって感じです。遅刻怖すぎ、電車遅延も怖すぎ、渋滞恐怖(笑) お陰で約束には時間に余裕を持って行動する癖が付きましたし、ゴリゴリの縦社会でもまれ礼儀を身に付けさせてもらえたことでバイト先などでも上司から優しくしてもらえたりして、身に付けてよかったことが沢山あります✨
ー音大生の夢と現実ー
演奏家や音楽教員など、さまざまな大きな可能性があると言いつつも演奏家への道の狭さや、音楽に限らず何をやるにもお金が必要だという現実について書かれています。
そして、自分の立ち位置を知ること。 音楽だけで生計を立てることが難しいと感じる人は、音楽は楽しむためのものとして大切にし必ずしも音楽を仕事にするということにこだわらないという提案もされています。
まさにコレなんですよね(笑)
そうなんだけど、わかってるけど、ここが1番キツいところで…。理想と現実。音大生っていうプライドもあったり。
他にも、音大生の能力・利点、時代の変化によるチャンスなども書かれています。
以上はChapter1 音大生の力 からの抜粋メインですが、ここまで読んだときに、大内さんめっちゃ褒めてくれるじゃん!って嬉しくなって脳内お祭りワッショイ(/・ω・)/✨って感じでした←
2.音大生の進路は、みなさんが考えている以上に幅広く、いろいろな可能性がある
個人演奏家やオーケストラ、教員、一般企業など9つに分けて紹介、説明されています。
ー真面目になるより魅力的な人間になれ!ー
音大生は4年間、真面目に音楽と向き合うなかでさまざまなスキルを身につけています。一度就職するとそれで人生が決まってしまうわけではなく、働いているうちにいろいろな選択肢が出てくる。企業に勤め、その会社における専門性を磨くことでその専門性が思わぬ分野で役立つこともある。それにはまず、就職!なのです。 とあります。
提案から就職のメリットが述べられていて、とてもわかりやすいです!
そして、読者の音楽を続けたいという想いを大事にした上で、現実の厳しさや選択肢などが書かれているところが良いなと思い、この本の好きなところでもあります(^^)
3.充実した人生を送るためにこそ、自立した人生を歩もう
少し視野を広げて、さまざまな分野のフィールドで自身を試してみてはどうか? 音楽に固執した結果、生活の困窮で苦しむ人も少なくない。
ーおカネのための自立の道は、決して音楽をあきらめることではありません。 音楽と別の道を進みながら音楽を心から楽しむ、という生活もあることに気付いていただければと思います。ー
生活する上での固定費の例をあげ、卒業後のやりくりのイメージを持つことを提案し、どのような生き方をするか考える必要があると述べられています。 なんとなく卒業系、教員挫折系、音楽求道者系、青い鳥症候群/モラトリアム系、ブラック企業就職系をありがちな例として、実際の苦労が紹介されています。
Chapter5 それでも音楽をやりたい人へ
この章では、以下の項目に分けて書かれています。
・なぜ「あの人」はうまくいっているの? ・音楽で食べていくには? ・自分をマネジメントする ・戦略的思考を持とう! ・王道を行くか、ニッチを目指すか? ・自分の能力をいかに差別化するか? ・「音楽+α」を身に付けよう
「音楽+α」を身に付けようでは、別な観点から会計・税金の知識についても述べられています。まさにこれは学校では教えてくれないシリーズです…。白湯*は、青色申告は事前に申請が必要とか、収入の金額が少なく確定申告の必要が無かったとしても保険料や医療費など控除がある、払いすぎた税金の還付など卒業したばかりの頃は知らないことが沢山ありました。確定申告の時期になると、市区町村で無料の相談会を行ってたりするので活用することをオススメします!!
この本を読んで思ったこと
もしかしたら、音楽を趣味として楽しむものとするなんて考えはない、と思う人もいるかもしれません。学生の頃の私がそうでした。音大出てプロになれないとか負け組という、なかなか強気な考えでした。
親のお金で学校へ通えていること、音大は学費が高くそれを稼ぐのに必要な収入、生活費など、ちゃんと知ろうとしていませんでした。とはいえ、ノリとか勢いも大事なので、考え過ぎる必要はないと思います!
何が何でも絶対演奏家になる!音楽を生業にする!と固く決めているなら、突き進むべきだし、私がお世話になった人も『結局、諦めなかった奴が最後まで残る』とおっしゃっていました(^^)
卒業後、バイトをしながらフリーで活動、思うようにいかない、そんな時に師匠に興味があれば読んでみたら?とこの本を薦めてもらいました。
同じようなタイミングで別の師匠とお話する機会ももらい、オーケストラに入ることだけに固執していたこと、ファゴットは好きだけどそれよりも自分は音楽が好きなことに気づきました。
語りだすと長くなってしまうので(笑)手短に書きましたが、この時期ぐらいからモヤモヤするような苦しさがなくなり、とりあえず色々やってみるかと明るく考えられるようになりました!
この記事が進路いついて考えてる音大生、音大に行こうか迷っている人、同じような悩みや経験がある人の参考になれば幸いです。
こちらの本、元銀行員という立場から税金の話も書かれているので、プロになる!と決めてる人にもオススメです!
興味がある方、気になる方、ぜひ読んでみて下さい(*^-^*)
↓こちら(楽天市場)からも購入できます♩
それでは、このへんで♪
コメント